2010年10月04日

『大きな木』

今日は、ゆっくりのんびりモード。
こんな日は、活字の多い小説ではなく、
絵本が読みたくなる気分です。

『大きな木』
最近の一番のお気に入り、『大きな木』をめくっています。
読んでいたら、昨日の自分のブログの文章を反芻してしまいました。

昨日、私は、
「考えてもどうしようのないものがある」
と、そしてそれは
「諦めではなく、自分の力がおよばないものがある」
と、書きました。

でも、それは、強がりだったのかな。。
と絵本を読んでいて思いました。
それは、やはり諦めなんだということ。
でも、決して悪いことではなく、諦めることを受け入れることも必要で、
諦めなければならないことがあることも、辛いことですが、自然なことのような気がしました。

この本は、原題は『The Giving Tree』といって、
つまり、『与える木』なのですが、
りんごの木が、少年に何かを与え続けるお話です。

あとがきに、
この本には、「奥行きのある感情が込められている」と
翻訳者の村上春樹さんが書いていました。

「美しい感情があり、喜びがあり、希望の発芽があるのと同時に、
救いのない悲しみがあり、苦い毒があり、静かなあきらめ」があり、
「それらはいわば、人間の心という硬貨の裏表になったもの」だと。

そのどの感情も、生きていれば避けることのできない感情だなと思いました。
自分も他者も生から死に向かって生きている中で、誰もが経験することのように思いました。

昨日書いた「諦める」ということに対して、また考えました。
「諦める」ということは、折れることや、逃げるといった、グレーな色の感じではなくて、
自分の中で「静かに諦める」という、辛いけれど、受け入れるという、
色でいえば、”深海”のような深い緑と青の合わさったような感じだなと思いました。

自分が光を持って見れば、奥深い美しさが映るけれど、
自分が毒を持って見れば、暗黒の世界に映る、
”深海”というところにはそんな景色があるように思いました。

「人間の心という硬貨の裏表」

結局、自分の目に映し出される世界は、
自分のココロが導き出した世界なのかもしれないと思ったのでした。


読んだ人にも、何かを与えてくれる本です。
気になる人(木になる人?)は、読んでみてください。





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Posted by とちの実 at 11:17│Comments(6)徒然なもの
この記事へのコメント
おぉ! 懐かしい本!!!
昔から家に一冊、ある気がします。
そして裏表紙の作者の写真が、妙に記憶に残ってます(笑)

原本も過去、求めたような…
久々に本棚を探して再読してみます。
今の自分は何を感じるか…ナ。
Posted by 宇・花 at 2010年10月04日 12:27
のんびりしてますかぁ〜。読む度に何かを考えさせられる内容ですよね。原作を読むと、感じ方が違うのかしら…。
私と院長は、時には親子、時には夫婦に見られます。往診先では「えっー!?ずーっとご夫婦かと思ってたのよ〜」って言われたことも。何かただならぬ、オーラ(?)が出ているようですぅ。なかなかお似合いだったでしょ!?
Posted by 優・寛の母さん at 2010年10月04日 15:16
こんばんは☆

ウチにもこの絵本あります。
初めて読んだときは、号泣した覚えがあります(恥)

ワタシの『おおきな木』は本田錦一郎訳となっています。
村上春樹訳も気になりますね。

見返りを一切求めずに、ただただ相手を受け入れ、相手の望みを叶えようとする『木』の姿が、本物の無償の愛(母親の愛)で、仮にも母親である自分とは、あまりにもかけ離れていて恥ずかしく悲しくなった記憶があります(苦笑)


色々なコトを諦めたり、でもやっぱり気になったり。。。もがいてる自分も、それはそれで実は好きなんですよね~(笑)
Posted by ちまちま at 2010年10月04日 21:37
宇・花さん、こんばんは。
本棚にありましたか?
こういうシンプルな本は、読むたびに感じるものが違います。
つまり、自分の状況によって、変わってきます。

村上春樹は、「物語は人間の心をうつす自然の鏡のようだ」
とも書いていましたが、本当にそうだと思います。
そのとき感じることは、やはりそのときの自分を大いに反映しているように思います。
だから、いい本は、何度読んでもいいのですね。

再読した後の感想が気になるところです。。(笑)
Posted by とちの実とちの実 at 2010年10月04日 23:10
優・寛の母さんさん、こんばんは。
今日はだいぶゆっくりのんびり、じっくり過ごすことができました。
私も原作を読んでみたいです。
英語だと、もっとストレートな感じかな?と想像しています。

院長先生にも、よろしくお伝えください(笑)。
Posted by とちの実とちの実 at 2010年10月04日 23:12
ちまちまさん、こんばんは。

ちまちまさんも持ってらっしゃるんですね。
もともとの訳者である本田錦一郎さんが亡くなられて、
いろいろな出版の事情で、2010年からは村上春樹訳のものしか
販売されていないようです。
読んだ感じの印象がちょっと違います。

昨日お話していて、ちまちまさんは、正直でまじめな人なんだなと、
そして、あったかい人なんだなと思いました。
だからこその葛藤や、悩み、直面する問題が生じるような気がします。
でも、それがちまちまさんだから、しょうがないのかもしれませんね(笑)。

お互い自己嫌悪に陥らず、自分の性格を”静かにあきらめ”(苦笑)、
受け入れて、楽しくやっていきましょう☆
Posted by とちの実とちの実 at 2010年10月04日 23:22
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